谷筋より稜線歩きがいい・京丈山[1473m]
ピーク〜京丈山頂(50分) [ この区間の地図 ]
少し登ると、やっとピークに立つ。
ここは分岐になっており、右手に取れば平家山を経て国見岳へ通じる。
その道を10mも行くと展望が開け、左手前方に京丈山を仰ぐことができる。
分岐を左手へ少し行くと左手に文字板が掛けられ「京丈山:55分」と書かれている。
山頂まで65分の文字板から、時計を見ると30分近く経っているが、ここでは10分か進んでいない。
一息ついて、前方右手に京丈山を見てゆるやかに下っていく。
少し下ると、正面に4畳半もありそうな大きな株が横倒しになっている。
その倒木の幹を乗り越えていく。
その倒木は、
足場
が切り込まれている。
そして右手展望に目を向けながら、少し行くと右手にまた株の裏側を見る。
道に傾斜はなく快適に歩は進むが、スズタケが繁茂し歩く距離は伸びない。
少し行くと、また倒木をくぐり落ち葉の道を行く。
倒木には、赤いテープが巻かれている。
ほぼ平坦な道に足早になるが、その分山頂への焦りも出てくる。
分厚く積もる落ち葉の上を少し行くと、
正面に立ち枯れた大木
を見る。
さらにスズタケを書き分けその大木の右手に出ると、
足元に石柱
が立てられ「補點」と刻まれている。
石柱に気付かなければつまずきかねない。
さらにスズタケをかき分けながらゆるやかに下って行く。
少し下ると傾斜はゆるみ、また倒木を越えていく。
さらに右手に半分ほど浮いた株を見て右手へカーブすると、またゆるやかな傾斜で下りだす。
山頂を目前にして下りだすのは意に反するが、これは仕方がない。
左手に黄色いテープを見て、根っ子の段差を降りていく。
さらにスズタケの道を、眼を細め両手を前に出しながらかき分けていく。
そして根っ子の段差を降り、大きな傾斜を下って行く。
倒木の多いスズタケの道はなかなか距離を稼げない。
道をふさぐ大きな倒木を乗り越え、さらに倒木をよけていく。
少し行くと正面が開け、スズタケの中に
ポッカリ開いた空地
に着く。
ここにも、台風の影響なのか無残にも引き裂かれたように倒れる大木を見る。
その大木の根元は既に空洞化しており、このような姿になる運命だったのかも知れない。
左手南側には展望が開け、倒木に腰を降ろし一息ついて荒れる息を整えたい。
そして西に向かってスズタケの中へ踏み込んでいく。
少し行くと、
右手に展望
が開ける。
この展望は、倒れた大木の犠牲で得られるもので、展望に喜び浸ってばかりいられない。
この辺りも倒木が多い。
それも大木が多い。
左手に目を移すと、大きな株が横倒しになり株の裏側をさらけ出している。
そしてその倒木を乗り越えて、さらに別の倒木をくぐって行く。
さらに、コケむした倒木の根元の方から越えていく。
倒木の根元に目を向けると、その株から若木が小さな幹を立ち上げている。
少し行くと、右手にまた倒木を見る。倒木との格闘は、さらに続く。
山記録は倒木を書くようなもので、とにかく倒木が多い。
その倒木の幹先を踏み越え、さらに
一本橋のように倒れる大木
をバランスをとって渡っていく。
途中大木のねじれた小枝に巻かれた赤いテープを見て、右手へ用心して降りてもいい。
または株元まで進み、株の左手から小枝をつかみ降りてもいい。
しかしどちらも降りづらい。
株元から降りると、右手へ数メートル、ヤブこぎし左手へ倒木を乗り越えていく。
少し行くと、また右手に株の裏側を見る。
その株の前から左手へ、1mほど、うね状の盛り上りを越えていく。
すぐ、右手に赤と青のテープを見て、さらに倒木を越え右手へカーブし登って行く。
この辺りも障害物が多い。
すぐ、2本の折り重なる倒木を越え、さらに株を右手に見て登って行く。
そして右手に黄色いテープを見ると、正面に京丈山が見えてくる。
道はゆるやかに下りだし、すぐ
倒木
を、地面に手を付きくぐって行く。
少し下ると正面に立ち枯れた大木が眼に入る。
その手前から、右手へカーブし急坂を下って行く。
すぐ左手の立ち枯れた木に育った、サルノコシカケを見てさらに下って行く。
そして、落ち葉の広い空間へ降りていく。
鞍部へ降りる前に、左手へ回り込んで登れば1411mのピークに立つことができるが、展望はない。
ピークには、2本の小径木にそれぞれテープが巻かれ、足元に石柱が立ててあるが文字はコケではっきりしない。
見通しのいい鞍部は、これまで倒木と格闘するように辿った光景とは全く異なり、気持ちのいい落ち葉の空間が広がる。
その落ち葉に踏み跡は薄くかすかな形跡を辿るように、左手へゆるやかな弧を描くように下って行く。
そして正面峰に向かって登ることとなる。
ここまでくれば、山頂はそう遠くはない。
ここで腰を降ろし、自然に浄化され広い空間に漂う空気を精一杯吸い込み、山頂への焦りを抑え一息つく勇気が欲しい。
しかし、足は山頂への焦りからか止まろうとはしない。
鞍部中央部に立つ大木を見ると、その右手の小さな幹に赤いテープが付けられ、その右手を行く。
7〜8mも行くと、右手に赤いテープを見て右手へカーブして行く。
踏み跡は薄い。
しかし、立ち並ぶ数本の幹に赤いテープが巻かれ、テープ が行く手を導いてくれる。
薄い踏み跡は、峰の右手を反時計回りに登って行く。
ゆるやかに登って行くと、スズタケの道になる。
この辺りのスズタケは背が低く、うっとうしさはない。
少し登ると、ゆるやかに下りだし、さらに左手へカーブし登って行く。
左右に蛇行し、急坂を登り
コケむした倒木
をまたいでいく。
しかし、段差は大きくまたぐ前に腰をおろし一息つきたくなる。
左手には、コケむした大きな胴体をスズタケの中に横たえている。
そして、重い腰を上げさらに急坂を登って行く。
小さな幹には、赤い布切れが目印に巻かれている。
さらに倒木を乗り越えていく。
道は踏み固められてはいるが、厚く積もる落ち葉が腐葉土化し、その上に積もる落ち葉でプカプカと沈み、疲れた足にはなお応える。
右手に白いテープを見て右手へカーブ、さらに倒木をまたいでいく。
正面にコケむした大木を見るとゆるやかに下りだす。
ゆるやかな傾斜を少し下ると、左手へカーブし登りだす。
少し登ると、辺りはコケむした岩が多くなる。
この辺りはコケ好みの環境なのか、これまでの光景とは一変する。
左手には、起き上がったような
岩に幹を立てる
自然の不思議を見る。
コケむした岩は多く、足場を岩や岩の隙間に探すように登って行く。
踏み跡はほとんど目に付かない。
ただ、赤や黄色のテープが唯一の目印で、見失う前にテープを確認していく。
見失えば、後退し行く手を定めていく。
さらに、赤い布切れを見て一歩一歩、歩を進めていく。
左手には、岩の上に数え切れないほど
たくさんの幹を伸ばす木
に目がいく。
少し登ると、傾斜はゆるみ幾分歩きやすくなる。
さらに、頭上に赤い布切れを見て岩の隙間を行く。
コケむしたカルスト台地を行くような錯覚を覚えながら、次の光景を期待するころさらに傾斜をゆるめ、次第に歩きやすくなる。
この辺りも、春になるとカタクリの花が見られるが、群生を見ることはない。
さらに、2重に巻かれた赤と黄色のテープを見て、ゆるやかに登って行く。
しかし、気を許すとテープを見失い、足は止まってしまう。
踏み跡もはっきりせず、少し戻り行く手を捜していく。
そして横一線に倒れた幹をくぐって行く。
テープを探すように歩を進めても、見失うことがある。
しかし、疲れた足を戻すのは意に反し足は重い。
幸い、傾斜は小さく一息ついてさらに頂上を目指していく。
少し登ると、傾斜をゆるめほぼ平らになる。
露岩もなくなり、落ち葉に薄い踏み跡が見られるようになる。
しかし、左手尾根筋辺りはまだコケむした露岩が多い。
ほぼ平らな道を行くと、右手にコケを装った大木を見る。
その横には、大木から逃げ出すように幹を曲げた木が滑稽に見える。
コケむした大木は左手にも見る。
平らな道は、大木に触れるとゆるやかに下り始める。
右手の小さな幹に赤と黄色のテープを見て、倒木を乗り越えていく。
薄い踏み跡をゆるやかに下って行くと、根元に
文字板
が置かれ「京丈山:5分」と書かれている。
さらに薄い踏み跡をゆるやかに下って行く。
少し下ると、正面峰の右手へゆるやかに登りだす。
右手に、倒木の株の裏側を見てスズタケの道を登ると正面が開けてくる。
左手に黄色いテープを、さらに右手にもテープを見てゆるやかに下っていく。
この辺りは雰囲気もいいし、気分もいい。
しかし、下るより早く登って山頂に着きたい気持ちが強い。
そして、右手に赤いテープを見てゆるやかに下っていくと、また黄色いテープを見る。
もう、踏み跡はしっかりと付けられ、テープに頼る必要はないがつい見てしまう。
すく先にはカズラが2重にこより結びに立ち上がり、上部では別のカズラを巻き込み、3重になって巻き上げている。
道はゆるやかに登りだし、除々に傾斜を増してくる。
さらに根っ子の段差を登って行く。
傾斜はなかなか厳しい。
一息ついて、急坂を登って行くと正面があけてくる。
さらにひと登りすると、やっと山頂にたどり着く。
山頂は広くはない。
中央部右手には山頂標が立てられ「京丈山:1473M」と書かれている。
その足元には、国土地理院の二等三角点の石柱が立てられている。
山頂標の右手には「山神」と刻まれた石碑が静かに安置されている。
展望は、一部倒木の犠牲の上に正面北側が開け柏川登山口から登ってくる峰々が眼下に望まれる。
しかし、他は樹林に囲まれ展望は期待できない。
山頂は、昔日の記憶を辿ればもっと広かったように思う。
南側斜面に足を投げ出し昼食を取った記憶があるが、今はスズタケに占領されどうしようもない。
それどころか、カタクリの花も周囲を飾ってくれたが、今は思い出の中だけにしかない。
山頂をゆっくり楽しみ、長い往路を帰る。