草原の山・俵山 [1094.9m]
道標 → 俵山山頂(約35分)
分岐を過ぎ左右に蛇行し下りきり、平坦な道を左手西の方へカーブすると、すぐ右手に、小さな道標が立てられ「俵山頂まで30分」と案内されている。
その案内板から、平らな道を蛇行して行く。
ゆるやかに登りだし、少しずつ傾斜を強めてくる。
さらに道は、右手へカーブし登って行く。
左手南側には、冠岳、さらに高千穂野へ続く阿蘇外輪山の稜線が重なり合って見える。
右手は、ヒノキからスギ林に変わってくる。
左手斜面から、吹き上げてくるさわやかな風は、熱い体を程よく冷やしてくれる。
小さな案内板から5、6分も登るとピークに立ち、右手へカーブし、
平らなススキの道
を行く。
左手前方に、待ちかねたように俵山が大きな斜面を見せ、登山者を誘うように、
山頂へ向う一筋の道
が銀色に輝くススキの群生の中にはっきりと見せている。
平らな道は、ゆるやかに下り始め、ゆるやかな道は、気持ちより足が先に出てしまう。
山頂へ、はやる気持ちを抑え、少し立ち止まって目指す俵山や、視界いっぱいに広がる景観を楽しむ時間が欲しい。
ゆるやかな傾斜を左手へカーブし、下りきると道は平らになる。
道には、溶岩が砕けたような、赤茶けた小石が多くなる。
少し行くと、小石はなくなり歩きやすい平坦な道になる。
さらに、左手へゆるやかにカーブすると、道は、山頂に向かって一直線に延びている。
山頂は、実は登りきった稜線の右手の位置にある。
この辺りにも
「マツムシソウ」
が多い。 マツムシソウも近づいてみると、紫色の花びらの中に、白っぽい花弁がたくさん集まり、実に美しい。
1、2分も行くと、道にはまた石が多くなり、右手には大きなケルンが数個作られている。
急坂を目前に、ここで一服するとよい。
さて、本コース最大の難所を、一歩一歩数えるように登って行く。
足は太ももを持ち上げるような感じで登って行く。
急坂では、途中何度でも休んでもいい。
そんなとき、パートナーの理解が有難い。
休むついでに、後ろを振り返ると、歩いてきた道が、軌跡を描いたように、細い線となって見える。
急坂を、心棒して10分か15分も登れば、山頂の稜線に達する。
登りきると正面に
標柱が建てられ、「山頂:1分」と案内
されている。
その時間を見て、多くの登山者は、疲れた体に1分の余力を搾り出し、ここを右手へ直角にカーブして行く。
山頂は、標高1000メートルを越す稜線を右手北の方へ小さなピークを目指し一歩一歩山頂に期待を寄せゆるやかに登りだす。
山頂への道は稜線左手直下にも付けられている。
「山頂まで1分」の標柱を信じれば、山頂は目前のピーク以外考えられない。
そのピークに立つと、
正面にまたピーク
が目につく。 そのピークには2本の道が登っている。
そして心を乱しながらも二つ目のピークをやっとの思いで登りきると、山頂らしい物がない。
つい、ピークの足元を探したりもする。 しかし山頂標は見つからない。
道はまだ先に延びている。
ただ、
ススキの中の平坦な道
に救われる。
焦る気持ちを抑え、ゆるやかな傾斜を行くとやっと山頂に着く。
山頂には、山頂らしく、山頂標が建てられ「俵山:1095m」と書かれている。
「俵山山頂:1分」の標柱から4、5分近く経過している。
山頂からの展望は、360度景色をさえぎるものはない。
東の方には、阿蘇五岳が一望できる。
右手の方には、天狗岩を持つ根子岳も見える。
ここでゆっくり腰を降ろし、山頂の風を楽しむといい。
脳裏には、すでに季節を変え再来が浮かんでいる。
帰りは往路を道草を楽しみ戻る。