火口縁とやせ尾根を行く・伽藍岳[1045.3m]−内山 [1275.4m]
伽藍岳〜西峰(20分)
山頂からは、360度の展望が得られる。
東側眼下には、別府市街地が広がり、随所で湯煙が穏やかな気流に乗って舞い上がっている。
その奥には、別府湾が広がる。
振り返り、南西の方には由布岳がほぼ全容を見せてくれる。
さらに、右手へ目を引くと、西峰へ辿る道が筋を引いたように誘い込んでいる。
西峰の岩峰も、ヒノキ林越しにわずかに望まれる。
山頂に立って展望を見ながら、来てよかったと思わずにはいられない。
幸せを感じる一時である。
何も俗世間から逃れ、ここに居場所を得て幸せを感じるものではない。
日常の生活の中で、一時でも幸せを感じることこそ幸せである。
同じスポーツでもいいスコアを取り、人に勝って得られる幸せとはちょっと異なり、自分自身が満足できる。
そして山頂に立って得られる満足は、健康や家庭・仕事その他多くのものに感謝する気持ちも含まれる。
山頂標は、山頂岩の手前に立てられているが、文字は消え読み取れない。
その山頂標の足元にも立てられ「伽藍岳:1045・3m S・H・C別府」と書かれている。
さて、展望に満足したら腰を上げる。
行く手を決めかねるが、ここから下山して温泉につかれば十分満足できる。
しかし西峰・内山と欲張ってもいい。
西峰は、山頂直下の分岐へ戻り、案内板を見て右折し伽藍岳山頂を回りこみ北側斜面をいく。
道沿いには、ススキに隠れるようにミツバツツジが目に付く。
ミツバツツジは地面に這うように、または岩にしがみつくように低くへばりついている。
幹を立てたミツバツツジは、なぜか葉を落としてしまっている。
さらにアセビも多い。
ススキの道は狭く、目より足で探るように進んでいく。
正面には、由布岳が東斜面を惜しみなく見せてくれる。
伽藍岳北斜面に近づくと、
ゆるやかに下りだし徐々に傾斜を増してくる
。
さらに狭い急坂を一機に下ると鞍部に着く。
帰路、この急坂を登るのは致し方ない。
すぐ小さなコブを右手へ向きを変え登るとゆるやかに下りだす。
正面には、火口縁鉱山道路から左手に見上げた、砕石のような岩に覆われた岩山が近づいてくる。
左手眼下には噴煙を上げる噴気孔が小さく見える。
さらにススキ道を登っていく。
時間さえあれば急ぐ必要はない。
360度に広がる展望を、楽しみながら登れば傾斜は気にならない。
登りきると、またゆるやかに下っていく。
道沿いには、ミヤマキリシマがあちこちに見られる。
しかし大きなミヤマキリシマは見当たらない。
さらにススキ道を登って行くと、正面に
蓋をかぶせたような岩
が目に付く。
その岩の左手を抜けまた下っていく。
正面に岩の突起を見ていくと、今度は親亀が子亀を乗せたような岩が目に付く。
道には次第に岩が多くなり左手へ下っていく。
左手眼下には、切れ落ちたような斜面直下に噴気孔が小さく見える。
ここは足元が悪く、ガレ場のように浮石も多く、バランスを崩せば大変なことになる。
さらに右手へ、突起を持った小さなコブの稜線へ登りつき、左手へカーブしその岩の右手を右手へカーブしていく。
足元には11月にもなって、なおリンドウの花が登山者を和ませてくれる。
一歩一歩を楽しみながら、
ススキ道を登っていく
。
足を休めるついでに後ろへ振り返ると、伽藍岳のなだらかな稜線が映し出されるが、その斜面はなだらかには見えない。
登りきるとまた下りだす。
正面には、
ヒノキとススキで色分けされた峰
が目前に映し出される。
ススキを掻き分けながら登ると、正面に待っていたように由布岳が姿を現す。
登りきると、左手先端に岩とミヤマキリシマが目に付く。
しかし実際ススキに隠れ、踏み跡を辿ってそこに着く。
ここからも素晴らしい展望が一望できる。
さらに、山腹から吹き上げてくる硫黄分を含んだ風がまたいい。
行く手西の方に目を移すと、目指す西峰がヒノキ林越に目に付く。
西峰へは、ヒノキ林の左手を下ればいい。
岩場を人登りすれば山頂に立つ。
ヒノキ林へ向かう踏み跡もあるが、ヒノキ林に入れば踏み跡は消え迷ってしまう。
西峰まで3分とかからない。
山頂からも素晴らしい展望に酔ってしまう。
爽やかな風も気持ちいい。
振り返ると、伽藍岳の平頂が優しく見える。
帰路、もう一度伽藍岳に立ち寄り展望を楽しみ塚原越へ向かう。