男山に惹かれる・傾山 [ 1602.2m ]
九折越〜1400m高低柱(30分)
九折越から東の方の左手に前傾・右手に後傾、そして中央に本傾の堂々とした雄姿を樹間に見せている。
足は、その岩峰に誘われるように向いてしまう。
ここは十字路になっており、左手へ50メートルも行けば山小屋がある。
九折越には道標が立てられ直進して「林道を経て九折へ」左手へ「Sobo-san」右手へ「katamuki—san」と英字表記されている。
支柱には、大分県の「緒方町」と書かれている。
傾山への道は、北に大分県・南に宮崎県の県境を稜線で区切っている。
この稜線は、傾山から延々と連なり祖母山へ至り、右回りに大障子岩を経て戻ってくる。
この稜線を逆周りに、その一部を辿る。
さて、一息ついたら足に引きずられるように
東の方へ歩いていく
。
傾山への道は、落ち葉に埋もれた平坦な道が続く。
1、2分も歩くとゆるやかに登りだし、倒木をくぐると少し下りまた平坦な
快適な道
が続く
11月も半ばを過ぎると、色鮮やかな紅葉を見せてくれた葉は既に散り、秋の柔らかな陽光にどの幹も白く輝いている。
左手前方には、目指す傾山の岩峰が樹間に見え隠れする。
しかし葉が茂る季節は望めない。
2分も歩くと、左右南北に見通しがよくなり、右手南側に五葉岳辺りの穏やかな稜線が垣間見える。
道の真ん中に幹を伸ばした木に触れながら、足にはほとんど感じないゆるやかな傾斜を小さく蛇行しながら登っていく。
歩く踏み跡は次第に下がり始め、ミゾのようにくぼんでくる。
その窪みはさらに深くなり、右手に踏み跡が付けられそれが本道になり代わっている。
九折越から10分も行くと、右手にひょっこり
小さな立て札
が目に付く。
立て札には「標高 1300m」と案内され、山頂との高低差300mが脳裏に浮かぶ。
さらに、ミゾ道の右手を辿っていく。
少し登ると、ミゾ道は次第に浅くなり右手の踏み跡と重なり合う。
道の両脇は、スズタケが生垣を造る。
標高柱を見て3、4分も行くとまたミゾ道になる。
ミゾ道は結構続く。
ミゾ道の縁には深緑色のコケ
が線を引くように生えている。
ミゾ道を3分余り登り、土の段差を登ると草付きの道に変わり道幅も広くなる。
ミゾ道を抜け足元が高くなったせいか、明るく感じる。
傾斜はゆるやかではなく、歩幅は狭くなる。
さらに倒木の幹先をくぐっていくと、すぐ正面のわずかな樹間に
傾山の岩峰
を目にする。
右手に農水省の名で赤い看板が立てられ「鳥獣保護区」と書かれている。
草付きの道を左手へカーブし登りきると、正面に傾山の岩峰を見る。
ピークは小さくはっきりしないが、地図上ここが「千間山」か、しかしほとんど気付かない。
道はすぐ下りだし、5、6メートル下るとまた登りだす。
下りきったところには、倒木が輪切りされ道が開けられている。
この稜線の傾斜は、登りも下りも距離は短く疲れる前に登りつき、登った直後の平らな道は有難い。
辺りには大木がいたるところで枝を広げている。
この大木の影響なのか、辺りのスズタケは丈が低い。
そして急坂を登っていく。
急坂を左手にカーブするころ、右手に一個だけ取り残されたような
コケむした岩
が目印のように座っている。
目印の岩を見ると、傾斜は幾分ゆるみ平らになる。
平らな道を10数メートル行くと、
また急坂に取り付く
。
途中、段差を越え左手へカーブしていく。
登りきると、正面に目指す傾山の三峰がくっきりと青空に映える。
傾山を見て一息つき、すぐ下りだす。
10数メートルも下ると右手へカーブし、また登りだす。
左手に、枯れた立ち木が目を引く。
正面に傾山を見ると平らな道になる。登りのご褒美みたいなもので足は休まる。