日本武尊が名付けた岩塊の山・行縢山 [ 831m ]
峠 → 雄岳山頂(約60分)
説明板の数メートル先には道標が立てられ行く手を「県民の森」と案内している。
道標支柱の最上部には「峠」と書かれている。
左手奥には、大径のスギと自然林に守られるように
お堂
が建てられ、その中に祠が安置されている。
一息ついたら、雄岳を目指す。
雄岳へは、峠を直進し右手へゆるやかに下っていく。
左手にはスギ林が広がり、始めて下りらしい下りを快適に下っていく。
1分余り下だって行くと、
三差路
に出会い左手へ分岐している。
正面には道標が立てられ、直進して「県民の森」雄岳山頂は左折と案内している。
足元には行縢山を形どった小さな立て札が立てられ「三の汗 山頂まであと1360m」と案内してくれる。
ここを左折しスギ林の道を下っていく。
左手には、沢を流れる水の音が聞こえてくる。
スギ林の道はすぐ自然林に変わる。
そして、正面に大きな岩をまたぎ小さな支流を渡っていく。さらに左手へカーブして登り、
すぐ右手へカーブしゆるやかに下って行く。
平らな道を10mも行くと左手へ下り、すぐ
沢に出会う
。
沢を渡ると、正面に例の立て札が立てられ「第3の沢 山頂まであと1250m」と案内されている。
すぐ左手へ、さらに
右手へカーブし登っていく
。
沢を渡って2〜3分も行くと天井が開けてくる。
久しぶり、青い天井を仰ぎ気も晴れる。
ほぼ平坦な道を右手へカーブしゆるやかに登っていく。
薄暗い林の道になれたせいか、辺りのスギ林がまぶしいほど白く輝いて見える。
すぐ左手へカーブしながらスギ林の道を行く。
突然、耳元をハチが音を立てて飛んでいく。
近くに蜂の巣がある証拠でもある。
この時期、ハチは繁殖期にあり攻撃的になっている。
人が巣に近づくと、偵察ハチがやってくる。しかしハチの方から攻撃することはないという。
近づくハチを追い払ったりすれば敵とみなされ危険、しばらく静かに待つかハチと遠ざかるようにその場を離れた方がいい。
スギ林はすぐ抜け出し、気持ちのいい自然林の道へと変わる。
道は、
わずかな傾斜
で登り一歩一歩が軽くなる。
しかし、傾斜は少しづつ増してくる。
その分
帰路はルンルン気分
で下山できる。
快適な道を左手へゆるやかにカーブすると、コケむした露岩が多くなる。
さらに右手へカーブし1分足らず歩いたころ、左手
松の木
に触れ元気をもらってゆるやかに登っていく。
10mほど登ると傾斜はゆるんでくる。
少し行くと、道沿いに立つ松の木が、右手斜面に倒れこみ路面まで引きづり落としている。
すぐ木の根の段差を登り、ほぼ平らな道を行く。
右手に桜に似た横しま模様の木を見て、ゆるやかに下りさらに平坦な道を行く。
平坦な道を10mほど進み、倒木をくぐってわずかな傾斜を登っていく。
さらに10mも行くと、さらに
倒木
をくぐりわずかなアップダウンをいく。
右手に耳を澄ませば、沢を流れる水の音がかすかに聞こえてくる。
倒木をくぐって2〜3分も行くと、左手へカーブコケむした露岩が多くなる。
道はさらに左手へカーブし、湿気を感じる岩道を登って行く。
10mも行くと、正面に「最後の水場」と赤文字で書かれた文字板が小さな幹に掛けられている。
右手数メートル先を見ると、小石の中に突き出たパイプから飲むには
適度の水
が流れ出ている。
ここで一息つくといい。
水は冷たく、ペットポトルに汲み取り首筋から頭にかけ流してやれば、体全体から元気が湧き出る。
元気が出た所で、さらに岩道を登っていく。
少し行くと、大径のスギが道に沿って
並木
のように幹を並べている。
道には、コケむした岩のほかにスギの根も多く、1〜2分も登ると有難くも岩は少なくなってくる。
スギ林の道をさらに1分も登って行くと、左手に
「杉並木の汗」
と書かれた文字板が目に付く。
杉並木の汗の文字板を見ると、またコケむした露岩が多くなる。
文字板の通り、傾斜もなかなか厳しい。
周囲には、枝打ちされたスギの小枝が一面散らばっている。
両脇のスギは一歩引いて植えられ、広い空間を成し気持ちも開放されるが、露岩が多く足元から目は離せない。
一歩一歩辛抱し、杉並木の文字板を見て5分も登ると正面に
小さな立て札
が目に付く。
立て札には、「杉並木の汗 山頂まであと500m」と書かれている。
ここでも一息つき、息を整えたい。
さらに、左手に松の倒木を見て右手へカーブし登っていく。
傾斜はゆるいが疲れた足にはやはりこたえる。
立て札をみると、スギ林は視界から消え、自然林たっぷりの道をゆるやかに蛇行し登っていく。
立て札を見て、1〜2分も行くと
また岩が多くなる
。
雄岳山頂まで500mを切っている。もう長い距離ではない。
しかし、岩道はなかなか距離を稼げない。焦る気持ちを抑えながら一歩一歩岩道を行く。
雄岳山頂に立つ人全てがこの岩道を登っていく。皆、同じ汗を流し登っていくのだ。
山の神が、山頂へ連れて行ってくれることはない。
どんなに素晴らしいドラマであっても、一歩一歩の過程を素通りして素晴らしい終末の感動は生じない。
この一歩一歩こそが、山頂に立ち感動を味わえる唯一の方法である。
脳裏に、いろんなことが浮かんでは瞬時に消えていく。
立て札を見て、5分も経つころ傾斜はなくなり
わずかばかりの空地
に出る。
休みたいがゆえ、空地に見えるのかもしれない。
一息つきたくなる。
一息つく回数も増えてくる。時間さえ持っていれば何度休んでもいい。山歩きに規則はない。
ただし、グループの場合はリーダーの支持に従うことは当然である。
また、
コケむした岩道
を登っていく。
表土を取られ根をむき出しにした松の木を見て、さらに登っていく。
辺りには、なぜかよく育った松の木が多い。
ここで、勝手に名付ければ「松の汗」とでもなるのか。
さらに、左手に桜の倒木を見て松の道を行く。
立て札から10分も過ぎるころ、なんとなく風通しのいい場所に着く。
ここでも、一時足を休めたくなる。
ここは、ほとんど下草はなく踏み固められ、登山者の最後の休憩場所にもなる。
山頂は狭く、ゆっくりと時を過ごすにはここに戻って体を休めたがいい。
一息ついたら、右手へゆるやかに登っていく。
道はすぐ傾斜を増してくる。
岩も多くなる
。
一息ついて2〜3分も登ると、右手に見慣れた立て札が立てられ「岩の汗 山頂まであと100m」と案内されている。
歩いた以上に距離は縮んだように感じてしまう。
さらに、岩と木の根の多い道を右手へカーブすると、立て札から1分ほどで
分岐にたどり着く
。
ここには道標が立てられ、左手を「山頂へ」と教えてくれる。
右手は「県民の森」へ通じる。
道標右手には、温度計が木柱に付けられている。
その木柱には「標高831m 100m高くなると約0・6度温度が下がります」とも書かれている。
さて、左手へ山頂を目指す。
すぐ岩道を登っていく。
道は、
右手にも狭い道
が伸び、右手が登りやすい。
左手岩道をとり、
木の根の道
を登っていくと、山頂岩場に達する。
その山頂岩へ直進せず、右手へ一旦下り山頂直下進み左手へ数メートル登れば
雄岳山頂
に立つ。
山頂岩場には、山頂標が立てられ「名勝 行縢山 831米」と書かれている
展望は東から西側にかけて得られる。
左手東側には、
雌岳の岩峰
が深い樹林に包まれ、登頂意欲が掻き立てられる。
南側眼下には、行縢の集落が山間に点在する。
北側は、赤松が枝を広げ展望は得られない。
山名は、行縢神社境内にある説明板にあるように「大和朝廷の初期、日本武尊が熊襲族征討の折、この地の山の形が行縢(むかばき、毛皮製の乗馬用下半身コート)に似ていると仰せられ、行縢山の名がついたと伝えられる」とある。
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)は第12代景行天皇の第二皇子で、武勇にすぐれ16歳のとき天皇に従わない熊襲(くまそ)征伐を命じられたと言われている。