紅葉とミヤマキリシマに映える山・普賢岳 [普賢岳:1359.3m]
普賢岳山頂 → 登山口(約60分)
山頂から、
東側に荒涼とした平成新山
が、目前にその全容を余すところなく見せてくれる。
ここからの距離は500メートルほどあるという。
今、落ち着いた平成新山は、1990年噴火活動始め、翌91年6月溶岩ドームの崩落と共に火砕流が発生、多く被害が発生している。
死者は地元住民を始め地元消防団・県警機動隊・外国人学者・マスコミ関係者。
タクシー運転手等々まで及んだという。
焼失家屋は400棟、噴出量は2億4000立方メートルに及び、溶岩の体積量は東京ドームの80杯の量に相当するという。
96年、噴火活動は収まり終息宣言が出され、同年6月「平成新山」と命名されている。
この新山は天然記念物に指定され国の所有だという。
山頂中央部には、遠くから見ると、小さな突起のように見えるが、ここでは恐ろしいほど巨大な岩塊で、その高さは30mにも及ぶという。
噴火活動に伴う新山の形成は、北海道の昭和新山に次いで2例目で、地球のものすごいエネルギーに圧倒されてしまう。
南の方を目を移すと、右手に国見岳、目を少し手前に引くと、紅葉茶屋へ下る急峻な道が、くもの糸のように小さく目にする。
左手には、妙見岳の稜線が青い空に美しく映える。
妙見岳山頂から尾根を下り、国見岳を登り急峻な下りを経てこの普賢岳山頂に立ち、その光景を目にしている今、我が足を誰かさんのように褒めてやりたい。
昼食は、山頂の岩場でとってもいいし、山頂の標柱を背にして平成新山を見て座ってもいい。
また、登山者が多いときは、山頂直下の広場でとってもよい。
山頂の展望を楽しんだら、後髪引かれる思いで
岩場を下る。
道は、往路を用心して下っていく。
下りは、膝や足首を痛め易く、無理がかからないように下っていく。
足の裏全体で同時に着地、親指に力を入れ小幅で下るのも一つの方法だ。
20分か25分も下れば分岐に着く。
分岐に着いたら一息つき、左折しアザミ谷へ下って行く。
自然石の石段をゆるやかに下るとすぐ右手へ、さらに
左手へ鋭角にカーブし下っていく。
数メートルも行けば、また右へ左へジグザグに急坂を下っていく。
左手に大きな岩
を見てさらにカーブしていく。
右手へカーブすると、正面樹間が開け
妙見岳の岩峰
が目線よりはるかに高く見える。
岩峰にもミヤマキリシマが、ピンクの絵の具を流したように彩りを添えている。
展望を見て一息つき、さらに左右にカーブし下っていく。
道は、数メートル刻みでジグザグにカーブし、傾斜も大きい。
石段には小石も多く、小石を踏めば滑って尻もち付きかねない。
さらに石段を左右にカーブし下っていく。
紅葉茶屋分岐から10分も経つころ、左右ジグザグに下るカーブは徐々に収まり、傾斜はゆるんでくる。
石段も次第に間隔をあけ、歩きやすくなる。
ここまでくれば、急な登りも下りもなく、軽快な歩行が楽しめる。
右手のコケむした岩にはケルンが造られている。
左手に
大きな岩を見ると、道はさらに歩きやすくなる。
右手に目印のような岩を見てゆるやかに下っていく。
ゆるやかな石段を2、3分も下ると、道はほぼ平らになり足取りは軽くなる。
ここ
アザミ谷
は、1986年「日本森林浴百選」に選ばれている。
さらに、普賢岳一帯は、紅葉がきれいなことから、「普賢岳紅葉樹林」として国の天然記念物にも指定されている。
特に、この辺りの紅葉や春の新緑の季節は見事で実に素晴らしく、ミヤマキリシマだけを満足したのでは山に申し訳ない。
歩幅もいつの間にか広く足早になっている。
さて、分岐から20分も下ると
広場に着く。
アザミ谷広場といわれる広場は、落ち着いた雰囲気が漂い、当然ながら人の声以外人工的音はない。
ここには休憩用のベンチが置かれ、ここで腰を降ろし体を休めるといい。
目を閉じると。どこからとなく、小鳥のさえづりが聞こえてくる。
その美しい声に吸い込まれるように時を忘れる。
紅葉時期には、仁田峠から、ここまで脚を運び紅葉を満喫する観光客も多いという。
ここで、時間が許す限り自然に体をゆだね、感じるまま自然を味わえばいい。
一時を休んだら帰路に着く。
広場には「普賢岳植物群落保護林」についての説明版が立てられている。
普賢岳植物群落保護林
普賢岳植物群落保護林は、普賢岳を中心に落葉広葉樹のイタヤカエデ・コハウチワカエデ・コミネカエデ等のカエデ類群落主体に、ニシキウツギ群落・ブナ群落が混在し、なかでもコハウチワカエデ群落が最も広い面積を占め紅葉期に美しいことなど、学術的に貴重な原始性の高い植物群落のことから保護するものです。 その他の主な植物は、ミヤマキリシマ・アズキナシ・ナナカマド・ヤマボウシなどのほか、安山岩の崖地には、常緑樹のヤマグルマが生育しています。また、普賢岳一帯は、紅葉がきれいなことから「普賢岳紅葉樹林」として国の天然記念物にも指定されています。 九州森林管理局 長崎森林管理署
道は、この広場の中心を右手へカーブし横切っていく。
道は、車が通るほど広く、
ゆるやかに登っていく。
右手には「雲仙の野鳥」と書かれた説明板が立てられている。
少し登ると、ゆるやかに下りだす。
この下りにも石段がつけられている。
石段を右手へカーブすると、石段はなくなり歩きやすくなる。
ゆるやかな傾斜を3、40mも行くとほぼ平坦になる。
すぐ、小さな段差の石段を下っていく。
7、8段も下ると右手に「落葉広葉樹林」の説明版が立てられている。
落葉広葉樹林
普賢岳一帯を最も広く被っているのが、この林です。特にコハウチワカエ・クロモジ林は代表的なもので高木層は、コハウチワカエデ・アズキナシ・ヤマボウシなど落葉樹のみからなり、秋の紅葉のすばらしさが観察されます。
石段は、70数段数える。
さらに3段ほど下ると石段は途切れ、また数段ゆるやかに下っていく。
左手に
立ち枯れた木
が目に付く。
これも大火砕流の影響なのか。そしてゆるやかに登るとまた石段になる。
30数段登るころ、
左手に2台のベンチ
が用意されている。
さらに35段ほど登ると石段は途切れる。傾斜は感じられない。
道は、すぐ登りだし、また石段になる。
左手には脇道
が付けられてはいるが、33段辺りで消えてしまう。
65段ほど数える頃また左手にベンチが用意されている。
石段はさらに続く。この辺りは石段が多い、しかし傾斜は少ない。
右手に、案内板が立てられ「この付近には野鳥の水のみ場があります。お静かに」と書かれている。
さらに30数段を数え登りきると、
正面にもベンチ
が置かれている。
ここで一息つき、右手に岩を見て右手へカーブしていく。
正面には、大きな木がまた立ち枯れている。
ほぼ平坦な道を少し行くと、道はゆるやかに登りだし数メートルごとに区切られた石段を登っていく。
左手には立ち枯れた木も多い。
ゆるやかな登りを右手へカーブすると登りきり、
右手角に1台のベンチ
が用意されている。
ここからゆるやかに石段を下っていく。
左手に
モミの大木
を見て、ベンチから1、2分も下ると左手に「モミ林」の説明板が立てられている。
モミ林
クリスマスツリーに使用される木で、樹高20〜25m、幹の直径1mに達する大木があります。雲仙では仁田峠からアザミ谷までの海抜1000〜1100mの南向きの斜面にしか見られません。この林は常緑広葉樹林から落葉広葉樹林へ移る途中に現れる林で、モミ林の下層には、ナナカマド、ナガバノモミジイチゴ、ウンゼンザサなどが見られます。
ウンゼンザサ
モミ林の下に生えているササはウンゼンザサで、雲仙で最初に発見されたササです。雲仙のいたる所で見られ、冬には葉のまわりが枯れて白く縁取られます。「ウンゼン」と名のつく植物にはこのほかウンゼンカンアオイ、ウンゼントリカブト、ウンゼンマンネリグサなどがあります。
数メートル間隔で敷かれた石段をゆるやかに登っていく。
右手にコケむした岩を見て、途中
倒れ掛かった幹をくぐって行く
と、傾斜はなくなり石段も消える。 この辺りは大木が多い。
平坦な道
を右手へカーブすると、右手にまた1台の木製のベンチが置かれている。
すぐ石段を下っていく。
石段は22段ほど数える。
さらに平坦な道を10mほど下り、10段ほど石段を下るとまた右手にベンチが置かれている。
これらのベンチは、登山者のためだけではなく、一般観光客の休憩場所にもなっている。
道には小石が多い。
しかし歩くのに支障はない。
ベンチから20m足らず行くと、
右手に標柱
が立てられ「6合目 標高:1090m」と案内されている。
さらに
気持ちのいい道
をゆるやかに下っていく。
すぐ4段ほど下るとまた平らな道になる。
左手後方へ振り返ると、
右手に平成新山の荒涼とした斜面
が、そして左手に樹林に隠れそうな普賢岳が目に入る。
すぐ、真横に幹を伸ばす木をくぐり、4段ほど石段を登って右手へカーブしていく。
左手には、大きなモミの木が深い谷間から目線を越え、さらに天高く幹を伸ばしている。
その谷間から吹き上げてくるそよ風がとても気持ちいい。
気持ちのいい道はさらにゆるやかに下っていく。
4、5m間隔で敷かれた石段
を6段ほど登り、右手へカーブしさらに6段ほど下ると傾斜はなくなる。
ここまでくるとロープウエイ乗り場から人声が聞こえてくる。