原生林を行く・久住 黒岳 [1334m]
風穴分岐 → 天狗分かれ(約40分)
ここが黒岳への分岐となる。
三叉路には道標が立てられ、直進は、「今水・岳麓寺」と案内されている。
直進して10分も行けば、分岐に出会い右折すれば段原を経由し大船山へ通じている。
右手に数メートル行くと、夏場にも氷が見られるという
風穴
がある。
穴はぽっくりと口を開け、持参のロープを手に中に入ることもできる。
しかし、中は暗く電灯が欲しい。
黒岳への急登を前に、ここで息を整え足を休めるといい。
黒岳は
砕石
をまいたようなところから左手へ登っていく。
砕石は滑りやすく、足にもこたえる。
道はすぐ急坂になる。 急坂にも砕石のような小石が多く、滑りやすい。
右手にはロープが張られている。
急坂と言えども、山頂を目指す限り、越えなければならない試練の道である。
一歩一歩辛抱し登った人だけが山頂に立つことができる。
一歩一歩の努力の積み重ねが、目的に達する人の道にも例えられる所以でもある。
しかし、辛抱ばかりではなく足に疲れを感じたら休めばいい。
後続の登山者がいれば先を譲っていい。
そして、休むついでに自然に目を向ければいい。
足元に目を取られ景色を見る余裕もなく、登り初めて7〜8分も経った頃、道は右手南の方へカーブしていく。
ここも歩きづらく急坂は続く。
この急坂を一息つきながら3〜4分も登ると、階段の踊り場のようなところに出る。
山頂は、ここを左手へ登っていくが、その前に右手へ数メートル進むと、展望が開け米窪から下る
広大な斜面
が視界いっぱいに広がっている。
大船山へ登る小さな一筋の道も樹林帯の中に薄く見ることができる。
足元からは、さわやかな風が吹き上げてくる。 ここで一息ついたらいい。
ここまでやっとの思いで登ってきた報酬のようなもので、価値ある光景に元気も涌いてくる。
気を取り直し、少し戻り、直進してさらに急坂に取り付く。
すべりそうな岩道を、北東の方へ登っていく。
道には、
さらに岩が多くなる
。
急坂が故に、山頂はまだかと、山頂へのあせりにも似た思いが高まるが、焦っても距離は縮まらない。
少し立ち止まれば、息も整い気持ちも落ち着く。
急坂は休むが一番。
歩数に目標を立て、足元に目を向け一歩一歩を数え、目標に達すると欲がでてさらに一歩でも二歩でも多く数えたくなる。
これも急登を登りきる一つの方法だ。
そこで小休止すればいい。
しかし、急登も山の魅力の一つであり、できれば気持ちをはずさず、正面から立ち向かいたい。
周辺に目を転じると、九州でも有数の原生林が広がっている。
そして原生林から神秘な力をもらったがいい。
急坂を7〜8分、あるいは10分も辛抱して登ると、道は傾斜をゆるめなんとなく周囲の植生の変化に気付く。
そしてピークの肩あたりに達する。
ほぼ平らな道に救われた感じで、落ち着いた自然林の光景に気持ちは楽になる。
道には、露出した岩がコケに染まっている。
1〜2分も行くと登りにさしかかる。
しかし、急坂ではない。