原生林を行く・久住 黒岳 [1334m]
天狗分かれ → 天狗→ 高塚山(約50分)
少し行くと三叉路に出会い、そこには道標が立てられ、天狗分かれへの道を案内している。
左手への道は、天狗分かれを経由し高塚山へ伸びている。
帰路はここへ戻り風穴へ下る。 三叉路を直進しほぼ平らな道を行く。
この辺りは、静かな落ち着きのある自然の庭園が広がり、腰を降ろしたくなる。
昼食は、天狗が狭くこの辺りで取る登山者も多い。
天狗を前に、ここで一息つき自然がいっぱいの空気を吸えばいい。
さらに、左手へ天狗から高塚山へ至る稜線へゆるやかに登っていくと分岐に出会う。
天狗は、右手の道を取る。 天狗への道も、踏みならされた道が続く。
ゆるやかに下るとすぐ登りとなり、道はY字形の三叉路となるがどちらを行ってもよい。
足が進むように左手を取り、急坂を登れば小さなピークに着く。
すぐそのピークを下っていく。
見上げると、
岩が折り重なる天狗
が目前にその威容を誇っている。
下りきると、数メートルの平らな道を過ぎ、少し登ると岩の多い道に変わる。
岩道の途中左手には、
ねじれたような木が目に付く
。
さらに岩に手をかけ、足の踏み場を確認しながら、変化の多い岩道を少し下り、さらに岩場を登っていく。
ねじれた木から2〜3分も過ぎると、最後の岩場に差しかかる。
岩の上は道はなく、登山者がわずかに付けた踏み跡をたよりに、用心し登っていく。
山頂は左手真上にあり急ぐ必要はない。 時計も見る必要もない。
一歩一歩、足場を確かめ用心して岩を渡っていく。
岩場の踏み跡はいくつか見られるが、行く手を選ぶ余裕はない。
岩場は危険を伴い、
安定した足場を確かめながら
、さらに行く手を見て登っていく。
途中、足を休め自分の居場所を確認するような慎重さも必要だ。
最後の岩場
を左手へ行くと、土の道になる。
ここを、左手へ巻くように登れば山頂に立つ。
天狗は、遠くに見たとおり、岩ばかりで、巨岩が折り重なり、特異な山頂を形成している。
奥の方には、岩の上にもう一つ岩が乗っかり、その岩に
「天狗:1556」
と標高が書かれている。
山頂からは、四方見渡すことができる。
北側にはこれから目指す
原生林に包まれた高塚山
が、天狗の岩越しにその全容を見せてくれる。
そのすぐ左手には、平治岳を望むこともできる。
西の方には、
雄大な大船山
が大きく威厳をもって鎮座している。
南の方には祖母山系が、美しくその稜線を見せている。
足場を変え、東側に目を移すと、岩越しに「豊後富士」と呼ばれる由布岳の二峰の遠望が得られる。
ここで時間が許すまでゆっくり展望を楽しめばいい。
自分の足で、全身に汗を流して得られる貴重な展望を、またいつ来るかわからないこの展望を、しっかり目に焼き付けたらいい。
さて展望を楽しんだら天狗を後にする。
山頂からは、ぐるっと右手に廻り、岩場を用心し往路を下って行く。
時間の経過より安全を優先して下っていく。
途中、後ろに振り返ると岩塊の天狗が寂しく見える。
北側には、高塚山が待っている。
高塚山は、往路を取り、登ってきた分岐を右手へに取り尾根道を行く。
道は少し登ると、ほぼ平坦で歩きやすく、尾根を通り抜ける風がとても気持ちいい。
2〜3分も行くと
天狗分かれに着く
。
左手は風穴へ、高塚山へは右手へ、狭い道を登っていく。
尾根道を蛇行していくと、いよいよ高塚山の最後の急登に差し掛かる。
2〜3分も登ると三叉路になるが、どちらを行ってもよい。
道はすぐ合流する。
高塚山への急坂をあえぎながら、最後の登りを一歩一歩登っていく。
疲れた足には急坂はこたえる。
途中何度も足を休めながら、7〜8分も登ると天井が空けてくる。
時間さえあれば急ぐ必要はない。
10分かけてもいい。
最後の登りで、ここまで運んでくれた素晴らしい足に、感謝しながら登っていく。
後ろを振り返ると、先ほど登った樹海に浮かぶ天狗が、真正面に親近感を持って惜しみなくその全容を見せてくれる。
道は急に狭くなり、両脇から
ミヤマキリシマ
や潅木が枝を伸ばしてくる。
枝に傷つけないよう、と言っても袖に筆禍ってしまう。
急坂を登ると2〜3分ほどで高塚山山頂に着く。
山頂には腰を降ろせる岩も多く平地もある。
適当なところに腰を降ろし、下山のエネルギーを蓄えたらいい。
昼食は、ここでとってもいい。
山頂からは、天狗が久住山系の離れに、しっかりとその荒々しい岩峰を見せている。
右手に目を転じると、大船山が大きく威容を誇っている。
さらに転じると、目前に大きく平治岳が存在を誇っている。
山頂から東への道は、前山を通り白水へ抜ける。
このコースも、変化に富み、五月には、九州でも有数のシャクナゲの群生が登山者を楽しませてくれる。
しかし、長い行程に車道歩きが加わる。
登山口へは、高塚山を下り、三叉路を右折し、風穴へ往路を帰る。
男池に立ち寄り、日本百名水で喉を潤せばいい記念登山となる。