九州の秘境・祖母山 [1756.4m]
国観峠 → 山頂(約40分)
三叉路に着くと、狭い笹道をゆるやかに登っていく。
三叉路から50〜60メートルも行くと、山腹に信じられないような広場がある。
学校の運動場に勝るとも劣らない空間が目前に広がる。
正面にはなだらかに裾野を広げる祖母山の雄大な姿に目を奪われてしまう。
ここが国観峠である。
祖母山を目前にして、一挙に疲れがとれ満足感あふれる一瞬でもある。
広場入口左手には道標が立てられ「祖母山頂:1.0km 神原:6.3km」と書かれている。
入口右手には、
宮崎県高千穂町五ヶ所へ下る登山道
も目に入る。
山頂へはここを直進して行く。
正面に視界を埋める林に近づくと、右手には赤いエプロンをした
お地蔵さん
が据えられている。
よく見ると、可愛い絵のついたバッグも下げておられる。
台座には「登山者の安全を祈願しここに延命地蔵尊を建立す 合掌」と刻まれている。
これは祖母山登山者の安全を祈願して、昭和59年9月、如月院主により建立されたものと記されている。
ここで一息つくといい。
林の入り口にも、祖母山頂への案内板が立てられている。
ここから、目前に見える祖母山頂を目指し笹道を行く。
ほぼ平坦な狭い笹道を行き、ゆるやかに登りだし3分ほど快適に歩を進めると正面に八合目の
道標
が立てられている。
道標には、九合目まで0.53km、祖母山頂まで1.02kmと書かれている。
国観峠入り口の道標には1キロメートルと書いてあり、そこから数百メートル歩いた気になっているが、逆に距離は伸びている。
しかし、色々考えても致し方ない。山は遠ざかったわけではない。
道標から4〜5分も急坂を登って行くと、右手に露岩が現れ、その先には
トラロープ
が行手を断つように張られている。
ここを左手にカーブし登っていく。
道は少し狭くなり、斜面に付けられた道を登っていく。
ロープがあったところから2分も行くと、右手に矢印の形をした
案内板
が、幹にかけられ山頂まであと30分と案内されている。
すぐ右手へカーブし、右側斜面の道を登っていく。
笹道を2〜3分も行くと、道はほぼ平らとなり道は山頂へ向かって伸びている。
少し行くと天井は空け、目を上げると林越えにわずかではあるが祖母山頂を目にすることができる。
しかしすぐ山頂は林の中に隠れてしまう。
道は山頂を目指して左手東側斜面をゆるやかに登っていく。
山頂は近いと思えば、一歩一歩に力がいる。
思い返せば、五合目山小屋を経てヘトヘトになりながらも木段を登り、沢を渡りよくここまで来たもんだと満足しながら、気持ちは既に山頂に立ったがごとく先を急いでいる。
周りはすべて自然林ばかり、人工林を最後に見たのは沢を渡ったところまでで、それ以降人工林は全くない。
自然の宝庫、九州の秘境といわれる所以でもある。
祖母山頂を仰いで5〜6分も登ると、正面に九合目の道標が立てられている。
道標は、祖母山頂まで0.49kmと教えてくれる。
道は次第に傾斜を増し、息が乱れてくる。
1〜2分も登ると、
Y字形の三叉路
となる。
左手は九合目山小屋へ伸びている。
右手には竹田市職労の案内板や、正面には山小屋への小さな案内板も立てられている。
山頂へはここを右手にとって登っていく。
ゆるやかな登りを、一歩一歩登っていく。
九合目から500メートル、50メートル登れば、残る450メートル、100メートル登ればと、意識せぬまま計算して自らを勇気付けている。 しかし意識すればするほど、山頂は遠い。
この辺りの笹は、背丈が低いが、これは高度によるものなのか。
道は左右に蛇行しながら4〜5分も登り、さらに左へカーブすると右手から、
シャクナゲ
が道に枝を伸ばしている。
春に淡いピンク色の花を想い浮かべると、こころは癒される。 ここを右手へカーブし登っていく。
2〜3分登ると右手に「落石注意」と書かれた案内板が幹にかけられている。
「足元悪し」とも赤文字で書かれている。
落石注意の案内板から、2〜3分も登るとまた
三叉路
に出会う。
左手は九合目山小屋へ、山頂は右手へ登っていく。
いよいよ最後の登りを行く。
すぐ
倒木
をくぐり、急坂を一歩一歩辛抱して登っていく。
急坂は、あせるほどきつい。
数でも数えながら、歩幅を小さく太ももを引き上げるように登っていく。
右手にはロープが張られ、ロープを手に登ってもいい。
少し登るとロープは両脇に張られている。
最後の急坂を時間をかけ一歩一歩登り、左手へカーブすると天井が空け、山頂に達する。
山頂からは、南側を中心に絶景が広がる。左手には、大障子岩が全容を見せている。
右手西側に目を転じると、天狗岩がはっきりと見て取れる。
さらに右手には障子岳・古祖母・の稜線が視界全体に広がり、稜線を左手端まで追うと独特の岩峰をもつ傾山が、惜しげもなくその姿を見せてくれ、まさに祖母・傾山山系を見る絶好の大舞台である。
そして、いつか目前に広がる稜線を辿ろう、と心に秘めるのは、ここに立つ登山者のすべてに共通する想いになってしまう。