のんびりと尾根道を・天山 -七曲り峠- [ 1045m ]
天山山頂 → あめやま(約25分)
左手に「天山県立自然公園」の自然石を重ねた記念碑を見て山頂に立つ。
後ろを振り返ると、これまで歩いてきた軌跡が、丘陵を蛇行しずっと先まで伸びている。
さらに歩を進めると、山頂中央部には
墓標と記念碑
が立てられ、 墓石には「阿蘇惟直之墓」と刻まれている。
山頂に墓標とは珍しく、これは時代を大きく逆のぼる。
建武三年(1336年)足利尊氏は、新田義貞率いる朝廷軍に敗れ九州落ちするが、再起を求めて豊後の大友や島津・小弐の支援を受ける。 一方南朝方の菊池武敏・阿蘇惟直や秋月・松浦党と、筑前粕屋の多々良川で一大決戦を展開することとなる。
菊池軍は絶対有利な戦力で対抗したが、松浦党の寝返りで戦局は逆転、南朝方は敗走することとなる。
惟直は重傷を負い、三瀬峠を越え古湯から天山山麓へ落ち延びたところを、佐賀小城の晴気城々主千葉胤(たね)貞(さだ)の一党に待ち伏せされ、 惟直は自刃して果てる前に阿蘇の峰々がよく見える場所に葬るよう遺言したという。
山頂からの展望は360度さえぎるものはない。
歴史に思いを寄せながらゆっくり昼食とすればよい。
地図を手にし、見えるものに名が分かればそれも楽しい。
食事を終え、時間が許すまで山頂を楽しんだら往路を戻る。
歩き足りなければ直進して天山を下り【あめやま】を目指してもよい。
あめ山は、西側に美しい姿
を見せている。
天山の地形地質
佐賀県のほぼ中央部に位置する天山は、脊振・天山山塊地域の最高山地で、一般に急峻である。 天山山塊の地質は、東西に伸びる山稜部は、蛇紋岩と結晶片岩からなるため、 山膚の色が黒くみえ北側の低い山は花崗岩でできているため、白い山膚がみえる。
直進して西側下り口に立てられた、「川内・岸川」と書かれた標柱を見て下って行く。
「あめやま」は、500mほど下って鞍部に着き、さらに300m登って行く。
道は、雨水に表土が流され、地肌剥き出しの滑りやすい岩場を下って行く。
踏み跡はガレ場の中に数本あり、どの踏み跡を取ってもいいが右手の方が下りやすいかも知れない。
しかし、すぐ道は一つになる。
目を先に向けると、下りきった所に十字路が見える。
そこを直進して、
道は丁度「く」の字
に【あめやま】山頂へ伸びている。
右手の道を下っていくと
4段ほどの木段
が付けられている。
木段はつい最近付けられたように真新しい。木段は、さらに小刻みに4段・4段・3段と続く。
山頂から7〜8分も下ると、右手は深いミゾになる。
さらに10段ほど木段を下りミゾを渡って、さらに2段登ると
狭い道
は歩きやすくなる。
少し下ると、また5段ほど下り、ミゾを渡り2段を登っていく。
そして林の中の小石の多い道をゆるやかに下っていく。
少し下っていくと、
左手に転落防止のロープ
が付けられ平坦な道になる。
左手に「九州自然歩道」と書かれた標柱を見るとすぐ十字路に着く。
時計は、山頂から10分余り経っている。
ここには大きな標柱が立てられ、 左手「川内・晴気バス停:5.0km」右手「岸川バス停:6.4km」、後ろに「天山山頂:0.5km」そして「あめやま:0.3km」と案内されている。
右手へ数メートル行くと「センブリ」についての説明板が立てられている。
「センブリ」は、千回振り出しても苦味が消えないことから、この名がついたといわれ、三瀬峠の売店でも売られていた。
この辺りには、健胃薬として知られる「センブリ」が自生していたと聞くが、今はほとんど見かけない。
「あめやま」は、ここを直進し平坦な道を行く。
気持ちのいい砂地の道は、ゆるやかに登りだす。 道には小石が多いが、登るのに支障はない。
さらに狭い道を登っていく。
十字路から、3分足らず登って行くと、
道は「く」の字を描くように、右手へカーブ
していく。
小石の多い狭い道は、山頂に向かって一直線に伸び、少し登ると傾斜を増し「く」の字の角から3分足らず登ると木段になる。
木段の左手には、脇道が付けられている。
木段は途切れ途切れに付けられ、辛抱して60段ほど登るとすぐ正面に石碑を見る。
センブリ
本州、九州にみられる多年生草木で、茎は、葉ともに紫色をおび、 秋に茎の上方に白色で紫色のすじがある5弁花を多数つける。全草に苦みがあり、 千回振りだしてもなお苦いので、この名がある。葉や茎は健胃剤に用いられる。
石碑へは、石碑の数メートル手前から右手へ折れ正面に立つことが出来る。
石碑は、明治45年から大正5年にかけ、面積160町歩に植栽事業を実施した記念として立てられている。
道はここを左へカーブし、ゆるやかに下っている。
途中右手に岩を見て少し行くと、あめやまの突端に立つ、左手へ振り返ると1000メートルを誇る
天山の雄姿
が目前に迫り、一筋の登山道を確認することができる。
食事はここでとってもよい。ここも展望をさえぎるものはない。
登山口へは往路を帰る。
帰りは登路とは全く違った光景に、飽きることなく登山口へ導いてくれる。