潮風に元気をもらう・浮岳 [ 862.8m ]
大スギ → 山頂(約25分)
ゆるやかに下っていくと、正面右手に圧倒されるような巨スギが大きな幹を立てている。
巨スギは、幹の直径が1・5メートルを越え、
根元はコケに覆われている
。
左手には巨岩が横たわり、ちょっとした空間の広がりを感じ、立ち止まりたくなる。
神は、巨木を依代に降臨されると信じられてきたが、こうした巨石と巨木に囲まれると聖地に足を踏み入れたような錯覚を憶えてしまう。 太陽の明かりもほとんどさえぎられ、薄暗く何千年も動かずそこに座す岩々も神々しく感じられる。
ここで、少し時間を割き一息入れるといい。
足を休めたら、直進しコケむした
岩の多い道
をいく。
右手にも巨スギが数本天に向かって幹を伸ばし、深山の情景一層深めている。
湿気の多い道を行くと、すぐ倒木に差し掛かり、ひざを曲げ、体を下げながらくぐっていく。
道にはコケむした岩を包むように、草木も茂り雰囲気が変わる。
さらに木の根も多い道は、岩の間を縫うように伸びている。
巨スギと分かれづらいのか、その木を振り返ってしまう。
平らな岩を登り、さらにコケむした岩や木の根あふれる道を登っていく。
周りの特異な雰囲気に気をとられ、疲れは感じない。
登山という感じもない。
むしろ探検気分に似たものを感じてしまう。
左手には、
コケむした岩に大きな木
が幹を立てている。
さらに、急坂を登っていく。ここは急坂で滑りやすく、靴も汚してしまう。
そして左手へコケむした岩場を越えていく。
すぐ右手へ岩場を行く。
岩の立ち木から2分も行くと、また正面に
2枚重ねたような大きな岩
が横たわっている。
辺りを見回すと大きな岩が多い。
少し離れて、静かに岩を見つめると、巨石にも次第に表情が浮かんでくる。
人や動物の顔に見えたり、あるときは恐ろしい怪獣かお化けに見えてくる。
不思議なものである。
その岩の手前から右手へ登って行く。
すぐ、その岩を回り込むように、左手へカーブし岩場を後にする。
しかし傾斜は一向にゆるまない。
これが浮岳の浮岳らしいところであり、浮岳を登ってはじめて味わえるものである。
左手に、数メートルも急坂を登ると、また
トラロープ
が張られている。
ロープは道を横断し、形のいい岩の右手からロープをまたぎ、右手へカーブし
ロープの左手
を登っていく。
岩場から、1分余り登ったところで右手へロープをまたぎ、ロープの右手の急坂を登っていく。
登山口には「山頂まで40分」と書かれていたが、もっと時間を取り、目前に展開する想いもよらぬ豊富な自然の光景に時間をとればいい。 さらに時間をかければ、急坂の疲れもすくない。
正面には倒木が道をふさぎ、さらにロープを左手へ横切り、
倒木の左手
から越えていく。
落ち葉の道には、木の根が多くなる。辺りは、日は届かず薄暗い。
水分に恵まれ肥沃な土地には落葉樹は少ないと聞く。
葉を落とし、水分の蒸発を防ぐ必要がないためだという。
浮岳では、11月半ば過ぎても葉を落とす木はなく薄暗い。
正面に大きな木を見て、コケむした岩の右手から左手へカーブし急坂を登っていく。
さらに、その岩から10メートルほど登り、
コケむした二つの岩の間
を抜け右手へカーブし登っていく。
急坂はなかなか傾斜をゆるめてくれない。
この辺りのロープは登りよりも下りに役に立つ。
途中足を休めさらに登っていく。
倒木から3〜4分も登ると、正面に明かりが差してくる。
この辺りには、スギの小枝が多く散乱している。
さらに急坂を30メートルも登ると、浮岳への肩にたどり着く。
辺りには
大きなスギ
が多い。
正面には、大きなスギの間に玄海灘の海原が広がっている。
ここはT字形の三叉路になっており、山頂は右手に取る。
4〜50メートル先には
石垣や小屋
が見えている。
ここをゆるやかに登っていく。
すぐ二重になった石垣の間の石段を登っていく。
この石垣は、昔日の上宮跡と聞く。
正面に小屋があり、小屋の左手角の柱には「たきびに注意」と書かれている。
その角の柱は自然木が使用されている。
小屋の左手を数メートル行くと山頂に立つ。